今は海から離(はな)れた田んぼ地帯ですが、縄文時代(じょうもんじだい)には海が入りこんでいて、遺跡(いせき)はその入り江の近くにありました。住居(たて穴建物)の跡(あと)はみつかっていませんが、直径80㎝前後、深さ70㎝前後の穴が37個みつかりました。穴の中には、ドングリ・トチノミ・クリ・クルミが残っていたことから、これらの穴は、縄文人(じょうもんじん)が食料となる木の実を蓄(たくわ)えておくための穴と考えられます。遺跡(いせき)からは、たくさんの縄文土器(じょうもんどき)や石器(せっき)の他、木で作った大きなスプーン、かごがみつかりました。木の大きなスプーンは、完成品と作りかけのものがあり、完成品は柄(え)に飾(かざ)りが作られていることから、実用品(じつようひん)ではなく、祭りや儀式(ぎしき)に使われた可能性があります。
水分を多く含(ふく)んだ土におおわれていたおかげで、腐(くさ)りやすい木の道具や木の実、動物や魚の骨(ほね)が、とても残りのよい状態でみつかりました。縄文人の優(すぐ)れた木の加工技術(かこうぎじゅつ)や食生活について、具体的(ぐたいてき)に知ることのできる、重要(じゅうよう)な遺跡(いせき)です。
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見つかった土器、石器、木器
木のしゃくし
木のしゃくしが見つかった時の様子