遺跡(いせき)は、かつて建築材(けんちくざい)として大量に切り出された大谷石(おおやいし)で有名な宇都宮市大谷町(うつのみやしおおやまち)の、大谷寺(おおやじ)というお寺の境内(けいだい)にあります。洞穴(どうけつ)は、入口の幅(はば)30m、奥行(おくゆき)13m、高さ12mの大きなもので、岩壁(いわかべ)には大谷寺(おおやじ)の本尊(ほんぞん)である千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)をはじめ、10体の仏像(ぶつぞう)が彫(ほ)られています。これらの摩崖仏(まがいぶつ)は、平安(へいあん)時代初期から鎌倉時代(かまくらじだい)初期のもので、その重要性から国の特別史跡(とくべつしせき)と重要文化財(じゅうようぶんかざい)に指定(してい)されています。
1965(昭和40)年の発掘調査(はっくつちょうさ)で、洞穴(どうけつ)のなかに積(つ)もった土の一番下の層(そう)から、当時関東でいちばん古いとされた縄文土器(じょうもんどき)、その上に堆積(たいせき)した層(そう)からは、異(こと)なる形と模様(もよう)の土器(どき)が次々と出土(しゅつど)したことにより、土器(どき)が出現(しゅつげん)した初め頃の土器(どき)の形や模様(もよう)の変化がわかりました。さらに、これらの時期ではきわめて貴重(きちょう)な、屈葬(くっそう)された人骨(じんこつ)の出土(しゅつど)もあり、当時の埋葬(まいそう)のようすを知ることができます。
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天開山大谷寺の上空 写真:栃木県立博物館
最下層から出土した縄文土器 写真:大谷寺
発掘調査のようす(昭和40年) 写真:大谷寺
現在の様子 | 現在、遺跡(いせき)から出土品(しゅつど)したものは寺域内にあるため、見学するには拝観料(はいかんりょう)が必要です |
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