余り田遺跡は、宮崎市街地の西方、大淀川支流の大谷川が形成した自然堤防の後背湿地(標高約8m)に立地しています。発掘調査では、自然流路の跡から6000点以上の土師器、須恵器、緑釉陶器、鉄製品、木製品、獣骨などが出土しました。中でも注目されるのは、土師器を中心とする墨書土器で、その数は160点にものぼります。「日万」を縦につなげて一文字のように書いたものが最も多く、達筆なものや字形が崩れて記号のようになったものなど多様です。全国的にも珍しい則天文字の「」(天の意味)や、「波太」「伊益奉」(伊益が奉る)という祭祀者の名を示したものも含まれています。釘や小刀、ヘラなどで文字や記号を刻んだ刻書土器も30点ほど出土しています。獣骨はウシ(3体分)、シカ、イヌなどが見られました。出土遺物の多くは摩耗していないことから、強い水流にさらされたり流されたりしたものではなく、水辺での祭祀行為の後にその場で投棄されたと考えられます。
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現在の様子 | 遺跡(いせき)は、国道10号線バイパスの建設によって消滅(しょうめつ)したため、見学できません |
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