妙見山古墳(みょうけんさんこふん)は、瀬戸内海(せとないかい)につき出した高縄半島(たかなわはんとう)の、標高(ひょうこう)約80mの丘の上につくられた古墳時代前期(こふんじだいぜんき)の初めごろの前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)です。全長は55.2mで、古墳(こふん)の形は、左右対称(さゆうたいしょう)ではなく、海側がやや大きくつくられています。墳丘(ふんきゅう)からは、畿内と共通する土器のほか、西部瀬戸内(せとうち)に独特(どくとく)の特殊器台(とくしゅきだい)も出土(しゅつど)しました。埋葬施設(まいそうしせつ)は、後円部(こうえんぶ)と前方部(ぜんぽうぶ)の2か所にたて穴式石室(たてあなしきせきしつ)がありました。後円部(こうえんぶ)の石室(せきしつ)からは、鉄の剣(けん)・刀子(とうす)・ヤリガンナ・斧(おの)が出土(しゅつど)し品物はました。そのほかに、現物は残っていませんでしたが、直径17cmくらいの銅鏡(どうきょう)があった痕(あと)が残っていました。前方部(ぜんぽうぶ)の石室(せきしつ)では、2つにこわされた中国製の銅鏡(どうきょう)やヤリガンナなどが出土(しゅつど)しました。妙見山古墳(みょうけんさんこふん)は、もっとも古い時期の前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)のなかに、他の地域と共通するものと、地元に独特のものがまざりあっている様子のわかる、重要な遺跡(いせき)です。
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妙見山古墳全景
妙見山古墳で出土した斜縁四獣鏡
妙見山古墳で出土した特殊器台と二重口縁壺