天神堂遺跡(てんじんどういせき)は、静岡県(しずおかけん)に接する県境(けんざかい)の町、南部町(なんぶちょう)の富士川(ふじかわ)ぞいの台地(だいち)の上にあります。1970年に小学校の校庭(こうてい)を広げる工事(こうじ)の時に、小学生が一つの石器(せっき)を発見(はっけん)したことをきっかけに、県内ではじめての本格的な旧石器時代(きゅうせっきじだい)の発掘調査(はっくつちょうさ)がおこなわれた遺跡(いせき)です。旧石器時代後期(きゅうせっきじだいこうき)のムラの跡(あと)で、石蒸(む)し料理の跡(あと)と考えられる10か所の礫群(れきぐん)と石器作(せっきづく)りの跡(あと)などが発見(はっけん)されました。
礫群(れきぐん)は、近くの県では静岡県(しずおかけん)や関東(かんとう)地方などで多くみつかっていますが、山梨県(やまなしけん)ではほとんど確認(かくにん)されていません。この遺跡(いせき)のほかに、同じ南部町(なんぶちょう)に1か所、北杜市(ほくとし)に1か所と、わずか3か所の遺跡(いせき)でしかみつかっていない貴重(きちょう)なものです。ナイフ形石器(せっき)や槍先形尖頭器(やりさきがたせんとうき)などは、遺跡(いせき)から約140kmも離れた長野県(ながのけん)の和田峠(わだとおげ)や星ケ塔(ほしがとう)でとれた黒曜石(こくようせき)などで作られています。これらの石器(せっき)や礫群(れきぐん)などは、山梨県(やまなしけん)で最古(さいこ)の暮(く)らしのようすがわかる貴重(きちょう)な資料(しりょう)として、2004年に県の有形文化財(ゆうけいぶんかざい)に指定(してい)されています。
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現在の様子 | 現在は、南部町立万沢小学校の校庭、および近隣農家の私有地(畑)となっているため、見学できません |
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