山梨県

鋳物師屋遺跡

いもじやいせき

所在地山梨県南アルプス市下市之瀬外部リンクGooglemap

主な時代縄文時代

鋳物師屋遺跡(いもじやいせき)は、工業団地(こうぎょうだんち)をつくる工事の前におこなわれた発掘調査(はっくつちょうさ)でみつかった、縄文時代中期(じょうもんじだいちゅうき)のムラの跡です。直径130mの範囲に、32軒(けん)の住居(たて穴建物)が、中央の広場をかこむように、ドーナツ形にならんで建てられていました。遺跡は、甲府盆地(こうふぼんち)の西部、櫛形山(くしがたやま)のふもとにあり、大雨などで運ばれた土石流(どせきりゅう)に覆(おお)われたことで、発掘調査(はっくつちょうさ)されるまでムラがそのまま埋(う)もれていたため、完全な形をした土器が数多く発見されています。なかでも、円錐形(えんすいがた)の土偶(どぐう)と人体のもようがついた有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)は、世界中の考古学ファンに知られるほど有名です。円錐形の土偶(どぐう)は高さ25㎝と大型で、乳房(ちぶさ)があり、大きくふくらんだおなかには左手がそえられ、右手は腰をおさえています。妊婦(にんぷ)さんがおなかの赤ちゃんを大事にしている様子が表現されているようです。この土偶(どぐう)は、フランス語で「命」を意味する「ラヴィ」のニックネームで呼ばれ、子どもをさずけてくれる女神として親しまれています。人体文様のついた有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)は、土器の表面に、ヒモのようにした粘土(ねんど)をはり付けて、人の全身を表わすもようで飾られています。その人のもようは、大きく口を開け、右手を上げており、歌いながら踊(おど)っているようにも、またこちらに向けて語っているようにも見えます。鋳物師屋遺跡出土品は、日用品から祈りごとやまつりごとで使われたとみられるものまであり、当時の文化を知るうえで貴重(きちょう)な資料として、1995年に205点が国の重要文化財(じゅうようぶんかざい)に指定されています。

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