金の尾遺跡(かねのおいせき)は、甲府盆地(こうふぼんち)の北西の端(はし)、標高285mほどのところに営(いとな)まれています。中央自動車道(ちゅうおうじどうしゃどう)の建設工事中に発見され、弥生時代後期(やよいじだいこうき)のムラと墓地(ぼち)がみつかりました。住居(たて穴建物)跡33軒(けん)、方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)25基(き)、円形周溝墓(えんけいしゅうこうぼ)2基(き)、大溝(おおみぞ)跡2条(じょう)、壺棺(つぼかん)1基(き)などが発見されています。金の尾遺跡(かねのおいせき)の周溝墓(しゅうこうぼ)は、甲府盆地(こうふぼんち)では最も古いもので、静岡県(しずおかけん)地域とつながりのある方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)と、長野県(ながのけん)地域とつながりのある円形周溝墓(えんけいしゅうこうぼ)がまとまって墓地(ぼち)をつくっていく様子がみられ、東日本全体の弥生時代(やよいじだい)から古墳時代(こふんじだい)への移り変わりを考える手がかりとなる重要な発見となりました。住居(たて穴建物)跡(あと)では、焼(や)けた木材や米粒が大量に出土(しゅつど)して、儀礼的(ぎれいてき)な行事(ぎょうじ)として家に火をつけたと考えられるものもみつかっています。また、県内ではじめてみつかった壺棺(つぼかん)は、蓋(ふた)がされた状態で出土しました。壺棺(つぼかん)の中の土を分析(ぶんせき)したところ、動物遺体(どうぶついたい)が納(おさ)められていた可能性があり、赤ちゃんか大人の遺骨(いこつ)を一度土中に埋(う)めて骨だけにし、それを改めて壺棺(つぼかん)に納めた可能性があることがわかりました。大溝(おおみぞ)の跡(あと)の一つは、ムラと墓地(ぼち)を分ける溝(みぞ)であることがわかりました。注目される出土品(しゅつどひん)には、土坑(どこう)からのガラス玉、銅釧(どうくしろ)、住居(たて穴建物)からの土偶(どぐう)、紡錘車(ぼうすいしゃ)、磨製石鏃(ませいせきぞく)などが出土しています。
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