坪井上遺跡(つぼいうえいせき)は、久慈川(くじがわ)と玉川(たまがわ)に挟まれた台地にある遺跡(いせき)で、大宮ショッピングセンターを建てる工事にともなう発掘調査(はっくつちょうさ)で、縄文時代中期(じょうもんじだいちゅうき)のムラの跡(あと)がみつかりました。ムラの跡(あと)からは、たて穴建物跡(あと)14軒(けん)、たて穴状遺構(いこう)23基(き)、土坑(どこう)400基(き)がみつかっています。土坑(どこう)には、縄文土器(じょうもんどき)がたくさん出土(しゅつどする)する、フラスコに似た形のものがありました。注目されるのは、1つのフラスコ形の土坑(どこう)で、この地域の土器(どき)と、隣(となり)の福島県(ふくしまけん)や宮城県(みやぎけん)の土器(どき)、さらに新潟県(にいがたけん)の火焔型土器(かえんがたどき)が一緒に出土(しゅつど)したことです。また、別の土坑(どこう)や地層(ちそう)からは、ヒスイ製の大珠(たいしゅ)という装飾品(そうしょくひん)が3点出土(しゅつど)しました。坪井上遺跡(つぼいうえいせき)では、発掘調査(はっくつちょうさ)がおこなわれる前に、ヒスイ製の大珠(たいしゅ)が5点みつかっていて、あわせて8点の大珠(たいしゅ)が出土(しゅつど)したことになります。1つの遺跡から8点も大珠(たいしゅ)が出土(しゅつど)した遺跡(いせき)は、県内では他にありません。ヒスイは新潟県(にいがたけん)を流れる姫川(ひめかわ)でしか採(と)れない貴重(きちょう)な石です。この遺跡(いせき)では、新潟県の火焔型土器(かえんがたどき)も出土(しゅつど)していることから、ヒスイがとれる新潟県(にいがたけん)との交易(こうえき)・交流があったことがわかる重要な遺跡(いせき)です。
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