善通寺市(ぜんつうじし)の西南の低い丘の上に作られた、6世紀前半の前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)です。全長約46mで、古いタイプの横穴式石室(よこあなしきせきしつ)があります。石室(せきしつ)には、石屋形(いしやかた)とよばれる棺(ひつぎ)を置くための場所が作られてます。石屋形(いしやかた)は、熊本県(くまもとけん)の北部に特徴的(とくちょうてき)な埋葬施設(まいそうしせつ)で、九州以外では珍しいものです。瀬戸内海を船で行き来するなかで、熊本とつながりができたのでしょうか。
石室は盗掘(とうくつ)されておらず、青銅(せいどう)製や金銅(こんどう)製の馬具(ばぐ)など、多くの副葬品(ふくそうひん)が出土(しゅつど)しました。なかでも、金銅(こんどう)製の冠帽(かんぼう)や銀(ぎん)をうめこんでもようをつけた鉄の刀のような貴重(きちょう)な品を持っていることから、この古墳(こふん)にほうむられた人物が、讃岐(さぬき)でもっとも有力な豪族(ごうぞく)であったといえます。横穴式石室(よこあなしきせきしつ)は、出入りがしやすいので、全国のほとんどの石室が盗掘(とうくつ)されています。立派な副葬品(ふくそうひん)をたくさんもっていた王墓山古墳(おうばかやまこふん)の石室が盗掘(とうくつ)されていなかったのは、奇跡(きせき)的! 香川県だけでなく、日本の宝として、国史跡(くにしせき)に指定されました。
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横穴式石室入口
石室内の石屋形
墳頂部