- 遺跡数7,355か所
- 面 積4,186㎢
石川県(いしかわけん)は、日本列島(れっとう)のほぼ真ん中にあり、南北に細長くのびています。古代(こだい)には、大海川(おおみがわ)を境(さかい)にして加賀(かが)と能登(のと)の2つの国に分けられ、この国の名前が現在の地方のよび方になっています。白山(はくさん)と日本海に育(はぐく)まれた雄大(ゆうだい)な自然にかこまれ、特別な歴史(れきし)・文化が生まれました。白山(はくさん)は、旧石器(きゅうせっき)・縄文時代(じょうもんじだい)以来、人々に豊かな森の恵(めぐ)みをもたらし、生活の場が山から平野(へいや)へと移った後も、白山(はくさん)のふもとでとれた美しい緑色の石材であるへき玉(ぎょく)がアクセサリーの材料となって、人々の心をひきつけます。海側に目を向けると、加賀(かが)の平野(へいや)部には、加賀三湖(かがさんこ/柴山潟〈しばやまがた〉・今江潟〈いまえがた〉・木場潟〈きばがた〉)や河北潟(かほくがた)といった海からの玄関口(げんかんぐち)があり、大きく海につき出した能登半島(のとはんとう)は、海流にのってやって来たあらゆるものをうけとめるかのように、加賀(かが)地方も能登(のと)地方も古くから水上交通の中心として、東西文化の中心になりました。水上交通は、日本列島(れっとう)のなかにとどまらず、大陸の人々とも交流した証拠(しょうこ)が県内でたくさん発掘(はっくつ)されています。
木でつくった魚八日市地方遺跡(ようかいちじかたいせき) 国指定重要文化財
弥生時代(やよいじだい)では、木で魚の形をつくったものは、ほかの遺跡(いせき)ではみつかっていません。杉の板を利用し、全体的に細長い特徴的(とくちょうてき)な形の魚を、写実的(しゃじつてき)に表現しています。口は両顎(りょうあご)ともに、長く鋭(するど)く尖(とが)り、目は円形に縁(ふち)を彫(ほ)りこみ、黒く塗(ぬ)っています。胴部(どうぶ)には、背骨(せぼね)の表現とみられる線がひかれ、そこから骨(ほね)の細かな表現がされており、それを覆(おお)うように、片面には赤と黒で矢羽(やばね)のもようにぬりわけられています。胴部(どうぶ)中央には、縦(たて)に色がぬられていないところがあり、別の材が組み合っていたと考えられます。特徴的(とくちょうてき)な形から、魚の「テンジクダツ」を表現したと考えられています。
鳥の形の土器(どき)真脇遺跡(まわきいせき) 国指定重要文化財
「鳥さん土器(どき)」の愛称(あいしょう)をもつ、ご飯茶碗(ちゃわん)ほどの小さな鉢(はち)です。器(うつわ)の口の部分には、鳥の頭を横長の三角形につくり、その中には目とくちばしが表現されています。そして、胴部(どうぶ)には、細やかな羽毛(うもう)を表現し鳥の胴体(どうたい)に見立てており、土器(どき)全体で水面にうかぶ水鳥の特徴(とくちょう)をあらわしています。
木の匙(さじ)八日市地方遺跡(ようかいちじかたいせき) 国指定重要文化財
匙(さじ)はイヌガヤ製(せい)で、木の幹(みき)から枝へと伸びる強度(きょうど)のある部分を利用して、身と柄(え)を作りだしています。身は浅くくり込み、ていねいに仕上げられており、バランスのとれたほぼゆがみのない形をしています。また柄(え)の先は、宝珠形(ほうじゅがた)にかざった形に作っています。